遠い遠い果てで
とても小さく聞こえた音は
深海に潜む涙のしずくが落ちたときに響いたもの
言葉なく
ただただ崩れ行く貴女は
とても幸福そうに微笑みを僕に向ける
差し出された手を取らずに逃げた罰だと呟きながら
それでも幸せの只中に居るように
曇りのない笑顔でこの腕の中に斃れる
死の直前でしかこうなれなかった僕たち
死の間際でやっとこうなれた僕たち
響く音は容なき夢へと変わっていく
願う闇
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