花火の音。
わたし、あなたのことがすき。
でも、あなたはわたしをみてないのね。
花火のオト。
べつにいいの。
わたしがかってにすきなだけ。
華火の音。
いいえ、あなたはわたしじゃないだれかをみてるの。
花火ノ音。
わかってるわ。
花灯の音。
いいの。
花火の音。
さよなら。
華灯ノオト。
ハナビノオト。
沈黙。
花火は終わった。
こうして終わった。
人の心なんて関係なく、終わるものはいつだって終わる。
空の沈黙と、雑踏と、相手のいなくなった沈黙が訪れた。
彼女の消えた空間に、虚しいほどの穴が空いた。
今なら追いかければ間に合う。
でも。
躊躇う。今追いかけて言われたことを否定しても、それを否定されることが目に見えている。
何も見えなくなって、諦めて、知らん顔すればいい。
そう言い聞かせて、反対方向に歩みを進めた。
それから数日後、電話が鳴った。
駆けつけて、彼女を抱き起こそうとして目に映ったものは赤い紅いあかい液体。
見慣れたまぶしい白い肌には、幾筋もの傷。
息の薄い彼女の口から、不意に言葉が漏れた。
「やっと……逢えた…」
今まで見たことも無い幸せそうな彼女の笑みは、僕を見ていたわけではなかった。
そのとき、解った。
あの花火の降りしきる中で彼女が言いたかったこと。
身代わり。
その代償。
罰。
罪。
僕の背中を汗が流れ落ちていく。
呼吸すらままならず、息苦しくてどうしようもない。
頬を伝う彼女の涙は、僕に感染した。
彼女は消えてしまった。
ならば、僕も消えよう。
守るべきものは、もう無い。
しろいしろい、まっしろな世界にいこう。
彼女が、今度こそ待っている。
僕を。
だからこの世界に未練なんて無い。
あとがき
ついに…やってしまいました。こんな短編で2人も!
これはボーっとしてたときにほけーっと書いたものにすっこーし修正を加えただけ。
ぼーとしてるとダークなことしか考えないのね、って? いえいえ、そんなことありませんよ。……多分。
うぅ、ほのぼのとしたものを書きたいのに…(泣)
こうなってくると、もう諦めも入るね、ウン。
こんな感じですが次回作も読んで下さいなw